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地域食文化と雪国山菜

 南魚沼の山菜の最盛期は、例年ゴールデンウィークの頃ですが、今年は雪が少なく山菜のピークが2、3週間早いというような状況です。

 「四季味わい館」では、地元の山菜を雪国山菜の名前で販売しています。豪雪地域で育った山菜は灰汁が少なく、上質なものであるということをもっと県外の人にも知ってもらいたいという思いからです。
 山菜に関しては全国各地域で食べられている物が少しずつ異なり、地域独特の食文化を考えるとき非常に面白い食材です。
 たとえば、アイコと呼ばれるイラクサの仲間は、この地域では、食べる習慣がありませんが、山形、秋田などでは、山菜の王様だそうです。
 また、南魚沼では、山菜と言えばキノメですが、他県だけでなく新潟県内でも食習慣がある地域は、少ないようです。木の芽というと関東では、山椒のことを指し、山菜キノメの存在は、ほとんど知られていません。雪の降らない地方で食習慣がないのは、灰汁が多すぎて食べられないからではないかと思います。キノメは、生たまごと醤油で食べるのもいいですが、ジャコ、ごま、刻み海苔と一緒にご飯に混ぜたキノメご飯がおすすめです。ほんのりとした苦みが春の訪れを感じさせてくれます。

 首都圏からのお客様には、ふきのとう、タラの芽、コシアブラが人気です。以前、東京からクルマでいらっしゃったというお客様から、「春には、ここによってコシアブラを手に入れ、帰りに水沢でうどんを買って、家で天ぷらうどんをつくる。」というお話を伺いました。
 とてもすてきな旅のプランではないでしょうか。

【ゆきあかり通信】藤田嗣治の描く“素晴らしき乳白色の肌”

【ゆきあかり通信】藤田嗣治の描く“素晴らしき乳白色の肌”
道の駅南魚沼のブログ、第二回目のテーマは藤田嗣治です。
映画「FOUJITA」が大絶賛で今話題の藤田嗣治ですが、簡単にご紹介するとピカソに才能を讃えられ、フランスで最も成功した日本人画家です。

藤田といえば裸婦像が有名ですが、1922年に『寝室の裸婦キキ』が発表されると、「素晴らしき乳白色の肌」と西洋画壇に大絶賛され一大センセーションを巻き起こしました。藤田の代表作であるこの絵をきっかけに、藤田は一躍パリ派を代表する画家になりました。『寝室の裸婦キキ』はピカソら巨匠の絵と並び、パリ市立近代美術館に展示され世界中の人々を魅了してきました。
また、1923年の作品『裸婦』に見られる、白く透き通った肌の質感は「美術史において初めて肌の描写を芸術にした」と称賛されるほどのものでした。

藤田はピカソのアトリエで見たルソーの絵画に衝撃を受け、独自の画風を追及し、試行錯誤を繰り返しました。そこで参考にしたのが、小さい頃から好きだった北斎をはじめとする浮世絵です。極限までデフォルメされた輪郭線や、なめらかな墨の描き方からもそれがうかがえます。

また、一見すると平面的に見える肌ですが、近年の化学調査でベビーパウダーの原料であるタルクを使用していることが分かりました。タルクを肌部分にのみ使用することでテカリを抑え、温かみのある独自の質感を表現したのです。現に晩年彼のアトリエから多量のタルクが発見され、また土門拳が撮影したアトリエの写真にもタルクが写っていました。

そして白い肌を際立たせる繊細な輪郭線は、浮世絵にも用いられている面相筆を使用しました。面相筆は元々細く描ける筆ですが、藤田は更に筆の中に針を仕込むことで、極細の線を均一に引いていました。実はここにもタルクが重要となってきます。というのもそのまま墨を描いたのでは、水性の墨ははじかれてしまうため、タルクを使用することで油絵の上に墨を置くことを可能にしました。こうして藤田の代名詞である「乳白色の肌」が確立されたのです。

6月15日(水)まで今泉記念館アートステーションで開催されている企画展「藤田嗣治とヴラマンク生誕記念展~パリ派と野獣派~」で藤田作品を展示していますが、中でもおすすめは『横たわる二人の裸婦』です。
残念ながらこの作品は銅版画ですが、藤田は繊細な描線を出しやすい銅版画に好んで取り組み、油絵や素描では表せない独特の表現を見ることができます。

また、この作品に出てくる黒髪の女性は、藤田を一躍有名にした『寝室の裸婦キキ』のモデルのキキ(本名アリス・プラン)です。キキはパリ派の画家たちに大人気で、パリで行われた美人投票で女王に選ばれ、「モンパルナスの女王」と呼ばれていました。

藤田は「私の体は日本で成長し、私の絵はフランスで成長した」と述べているように、藤田の裸婦像は日本人としての繊細な感覚や、ピカソたちとの交流などパリでの経験とが合わさって生まれた日本と西洋との融合作品とも言えるのではないでしょうか。
また、面相筆と墨があるアトリエが描かれた『自画像』も展示しています。この機会にぜひ藤田作品をご覧下さい。

【ゆきあかり通信】日本酒の種類

道の駅南魚沼のブログの第一回です。

道の駅雪あかりを通じ南魚沼の自然、文化、食など、広く紹介していきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

第一回のテーマは、日本酒です。

南魚沼の名産品としてお米と並んで有名なのがお酒です。
市内には、日本酒の酒蔵が3社とワイナリーが1社あります。道の駅の直売所でもこれら南魚沼の地酒を取り扱っているのですが、そこでお客様からよく質問されるのが日本酒の「本醸造」「純米酒」「吟醸酒」の違いです。

今回は、この違いについて簡単に説明したいと思います。
「本醸造」「純米酒」「吟醸酒」といった名前の付いたお酒を特定名称酒といいますが、これらの違いは、精米歩合の違いと醸造アルコール入りかどうか、そして吟醸造りという製法をとっているかの3点で決まってきます。
精米歩合とは、お米を削る割合のことです。お米の芯にある心白という部分を削ることでお酒は、よけいな雑味がなくなっていきます。お米を削るほど雑味のないすっきりしたお酒になっていくことになります。

次に、純米づくり(米、麹、水のみで造る)か、醸造アルコールが添加されているかの違いです。
添加の目的は、醸造アルコールを入れると、お酒の香りを引き出すことができ、味は淡麗ですっきりとしたものになります。
一方で純米酒は、どっしりとしたコクのある味になります。
純米づくりか醸造アルコール入りかの選択は、それぞれの好みの問題ということになります。
3つ目の吟醸造りは、低温でゆっくり時間をかけて発酵させ、「吟醸香」とよばれる特有の芳香を生じるよう醸造する製法です。

以上のことから「本醸造」「純米酒」「吟醸酒」というお酒の種類が決まっていきます。
下に特定名称酒の区分を表にしてみましたので参考にしてください。
特定名称酒は、値段に関わらず自分の好みが重要です。色々試して自分の好みを探してみてください。

日本酒表